頭痛が痛い

怪文を綴る腐女子

ヒプノシスマイクのヨコハマは不憫だ

タイトル通りの話をしたい。

 

ヒプノシスマイクというプロジェクトがある。どうやら、池袋、横浜、渋谷、新宿のチーム(ディビジョン)に分かれて、ラップバトルをしているイケメンの話らしい。最近このヒプノシスマイク、通称ヒプマイの曲を延々と聞きまくっている。

「ヒプメェ」と悟空みたいな呼び方をしているのはとりあえず気にしないでほしい。で、その全体曲というのが下の2曲のことだ。

www.youtube.com

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とてもカッコいい。これまでラップというジャンルには縁がなく、ほとんど聞いたことがなかったが、これはなかなかイケている。

作業用BGMとして流していたのだが、少し作業を中断してMVを見てみた。アニメイトで流れていたのを何度か見たことがあったが、じっくり見るのは初めてである。ちなみに、以前からサマトキサマなる人物のことは気になっていた。

サマトキサマはちゃんと名乗っているし皆に名前を尋ねているのに、他の連中は全然名乗りやしない。きちんと名乗っているのはイケブクロの一郎二郎三郎と、シブヤの乱数くらいだ。おかげで私は他の人の名前を全然覚えられない。というかそもそも読めない奴らが多すぎる。

MVを見ていると、キャラ紹介の際にそれぞれ職業が表記されていることに気がついた。こいつらラップで食ってるんじゃなかったのか。

サマトキサマはヤクザだそうだ。もうこの時点で絶対好きだと思った。こういう女性向けイケメンを集めた作品にぽつんと1人だけ存在するヤクザは、大抵いい奴だ。「ヤクザ」はもはやギャップ萌えを確立するための「ヤンキー」の上位互換に過ぎない。しかもどうやらお母さんと妹さんを大事にされているそうだ。そんなん絶対優しい人に決まっとるやん。雨の日に、捨てられた子犬を見つけて傘を置いていったことが一度や二度ではないはずだ。

 

 

 

サマトキサマに想いを馳せながら、ホストの子もたぶん好きだな、乱数くんも可愛いな、などと思いながらMVを見ていて、ふと気付いたことがある。

 

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ヨコハマだけ遠くね???

 

しれっと4つのディビジョンで並べられているが、ヨコハマだけ山手線ではないし、そもそも都内ですらない。なぜ???

これが4つともそこそこ離れているならば問題ないだろう。ただ、池袋、渋谷、新宿だけが密接しているのに対し、横浜だけが微妙に遠い。これでは彼らの友好関係に亀裂が生じてしまうのではないだろうか。

例えば、池袋⇔新宿⇔渋谷間は電車の時間だけで言えばそれぞれ数分で行き来できるし、なんなら頑張ったらチャリでも行ける。一番離れている池袋⇔渋谷間ですら電車賃は165円。小学生のお駄賃でも行けてしまう。

しかし横浜はどうだろうか。調べてみたところ渋谷が一番近いが、それでも30分程度かかってしまう。ヨコハマ面々が渋谷に着くまでに、シブヤ面々は意味もなく新宿と渋谷を行ったり来たり行ったり来たり出来る。電車賃だって倍近く違うし、新宿や池袋に行こうものなら、ヨコハマの3人だけ500円くらい取られてしまう。微々たる差かと思うかもしれないが、彼らが週一で新宿に集まってラップすると仮定した場合、ヨコハマ面々は月に2000円の出費、3人合わせて6000円もの出費になる。方や、シブヤやイケブクロ達は月の出費が600円、6人合わせても3600円でしかないのである。

とはいえ毎回新宿でラップバトルするというのは、阪神が毎回甲子園で試合するようなものだから、これもまた不公平だろう。これは私の予想だが、おそらく各々のホームを順番に回っているのではないだろうか。しかし一見平等に見えるこのルールだが、電車賃問題はまだヨコハマの方が多く払っている。それに、横浜でラップする日は、東京の3ディビジョンはたぶん「遠いな」と思っている。誰も口には出さないが、横浜行くのダル〜とテンションが下がっているに違いない。たぶんシブヤのLINEグループとかでは「明日横浜?」「めんどい笑」みたいな会話がされている。なぜシブヤなのかと言うと、シブヤの彼らは職業がデザイナー作家ギャンブラーと、頭がおかしくないとやっていけない職業三銃士だからである。たぶん彼らは他のディビジョンより少し倫理観に欠けている。

 

 

こういった小さなギスギスは他にも可能性がある。

例えば、イケブクロとシンジュクが夜に居酒屋で飲んでいたとして、少し酒が入ってきた頃に「シブヤも呼ぶ?」みたいな流れになるはずだ。そうすると当然「ヨコハマも」となるのだが、結局ヨコハマに声がかけられることはない。

なぜなら遠いからである。

夜遅くにわざわざ呼び出すにはちょっと……となる距離だ。決して彼らはヨコハマをハブろうとしているわけではない。あくまで彼らなりの優しさで、ヨコハマを誘わなかっただけなのだ。

そしてシブヤが合流して、3ディビジョンで2軒目に行くだろう。そこでしこたま飲んだ彼らは、「え?明日みんな休み?」「それならどっか行かん?笑」と盛り上がるに違いない。そしてワイワイ話し合った結果、明日はディズニーランドに行くことになる。しかし、ヨコハマは誘われない。

なぜなら、急に決まったし夜も遅いからである。

ヨコハマも明日が休みとは限らないし、今の時間から誘うのは気が引ける。おそらく誰もはっきりとは言わないが、誰かがヨコハマに声をかけることはない。意地悪ではなく、彼らはただ気を遣っただけなのだ。何も積極的に除け者にしたいわけではないだろう。しかしその日解散した後、明日の連絡用として、ヨコハマを除いたイケブクロ、シブヤ、シンジュクだけのLINEグループが作られる。

そしてイケブクロ、シブヤ、シンジュクの9人は翌日ディズニーランドに行くのだ。

アリスのティーパーティーでアホみたいに回転して、ビーバーブラザーズのカヌー体験でアホみたいにカヌーを漕ぐ。スプラッシュマウンテンで一台丸々占領してはしゃぎ、落ちる時に全員変顔をした写真を買う。耳や帽子なんかも買っちゃって、はしゃぎすぎた奴がミッキーやドナルドにラップバトルを挑んで「ちょいちょいw」みたいなノリを5回くらいする。9人はヨコハマのことなんて忘れて、ディズニーランドを満喫するのだ。そして帰りの電車で、「今日はお疲れ✋」と各々が撮影した写真や動画をLINEのアルバムにアップし始める。そのうち、今日の連絡用に使っていた3ディビジョンだけのLINEグループの名前が、「ディズニーランドディビジョン」とかになっている。空気の読めないシブヤの誰かが、インスタグラムに「#ディズニー行ってきた #人多すぎ笑 #でも楽しかった #また行こ」と9人が映った写真をアップする。もちろんヨコハマも見ているアカウントでだ。

悲しい。あまりにも悲しすぎる。

誰が悪いわけではない。むしろ皆がヨコハマだけ遠いことに配慮した、優しさの結果だ。サマトキサマも優しいので、自分たちを誘わずにディズニーランドに行ったことを責めたりはしない。

一応お土産は買ってきてくれるはずだ。しかし、9人もいればおそらくお土産選びの際にふざける奴が出てくる。そしてなぜか、その場のノリで自分たちとお揃いの耳を買ってくる。ヨコハマの3人は、ディズニーランドから帰ったあとは何の役にも立たないそれを、行ってもいないのに貰ってしまう。もっとお揃いのストラップとかあっただろ。そう思うが、サマトキサマは優しいので口には出さない。

たぶん山田家の長男あたりは、お土産選びの後で「いや耳はないだろ」と我に返り、ちゃんと可愛い缶に入ったチョコクランチを買ってきてくれる。長男だから、そういうところにはちゃんと気を配れるはずだ。一郎くんの優しさに涙し、ヨコハマは3人でチョコクランチを分け合うのであった。

これが関西での出来事であれば、もっと悲惨だ。関西のディズニーランドことユニバーサルスタジオジャパンは、年間パスポートが安すぎるが故に若い集団で行くとほぼ必ず年パスを買って帰るからである。「年パス持ち」「年パス無し」の誘いやすさの間には、天と地ほどの差がある。きっと関西では、ナンバ・ディビジョンとシンサイバシ・ディビジョンとシンセカイ・ディビジョンでUSJに行って年パスを買い、コウベ・ディビジョンはヨコハマと同じように涙を飲んでいるのだろう。そしてその後、大阪のディビジョンメンバーは年パスを持っているので気軽にUSJに誘い合うが、コウベは一向に誘われない。なぜなら年パスを持っていないから。ヨコハマは、年パスがべらぼうに高いディズニーランドであっただけまだマシなのかもしれない。

 

とはいえ、存在するかどうかもわからないディビジョンと比べたところで、ヨコハマの傷が癒えるわけではないだろう。

それにきっとその後も、ディズニーランドで起こった珍事件の話で盛り上がってヨコハマだけ苦笑いしていたり、あくまで当日の連絡用として作成したディズニーランドディビジョンのLINEグループがそれなりの頻度で動いていたりするのだ。

ヨコハマだってわかっている。彼らは決して自分たちを仲間外れにしたいわけではなく、ただ自分たちのホームが遠いことだけが問題なのだ、と。ヨコハマの彼らはきっと、自分たちがせめて山手線のどこかに住んでいれば……と悔いて枕を濡らした夜があっただろう。しかし彼らが引っ越すことはない。ヨコハマの3人は、自分たちの生まれ育った横浜という街を誇りに思ってラップをしているからだ。横浜を背負うことは彼らの信念であり、アイデンティティである。地元を捨てたラッパーにどんなライムも歌う資格はない。そんな誇りを胸に抱き、今日もヨコハマの3人はラップバトルに臨んでいる。

 

 

というわけで、ヨコハマは唯一ホームが遠いというだけできっと様々な悲しみを抱えているに違いない。私はそんなヨコハマが不憫でならないのだ。なので私は、サマトキサマと、……あとなんだっけ、なんか眼鏡の人と、声がとてもエッチな人の3人を応援しようと決めた。まずはちゃんと名前を覚えるところから始めようと思う。

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左から、じゅうとくん、サマトキサマ、りおくん(※1)

公式サイトによれば、銃兎くんとサマトキサマは「持ちつ持たれつ」の関係らしい。ほう……(腐女子センサー発動)。あとサマトキサマは一郎くんと「犬猿の仲」らしい。へぇ~……(腐女子センサー発動)。「持ちつ持たれつ」「犬猿の仲」どちらも腐女子界では「カップル」を意味する言葉である。

話が逸れた。なんだっけ。そう、ヨコハマが可哀想という話だ。

そして可哀想だけど健気で可愛いなと思ったから、あと普通にサマトキサマが好みの男だったから、遠くからヨコハマを応援したいなあと思いましたという、お気持ち表明クソブログである。あくまで遠くから応援するだけだからな。ちょっと曲を聞くくらいだからな。なんか友人がやたらと沼から手を伸ばしてくるが、私は絶対そっちには落ちないからな。押すなよ押すなよ!絶対押すなよ!

(※1)ブクマやRT先でご指摘いただきましたが、「りお」くんではなく「りおう」くんだそうです。 公式サイトだと「RIO」表記だったので勘違いしとりました。もう完璧に覚えました。(8/30追記)

 

 

沼から逃げ回りつつ、今日も私はヒプノシスマイクを聞いている。

SideMのイベントで一度だけ訪れたことのある横浜の景色を思い出しながら、30分電車に揺られて東京へ向かう彼らを思うのであった。