頭痛が痛い

怪文を綴る腐女子

君たちは知らん人とどう生きるか

 

 

 

「あつまれ どうぶつの森」を細々とプレイしている。

シリーズ作では「おいでよ」「とびだせ」をそこそこプレイしていた身であるので、今作も発売を非常に楽しみにしていた。そして今日に至るまで、毎日欠かさず楽しんでいる。

どうぶつの森シリーズの醍醐味と言えば、共に暮らす様々な住民の存在である。

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上記サイトの住人名簿はスマホアプリ「ポケットキャンプ」のものなので少し古いのだが、「あつまれ」ではここに新住民8人を加え、391人もの住民が登場するのだ。仲間の数はそりゃやっぱりぜったいがっちり多い方がいいとオーキドも言っていたが、ぶっちゃけかなり多い。全シリーズ含めても、全員と交流したことのあるプレイヤーは少ないのではないだろうか?私はカバの住民とか多分誰とも一度も話したことがない。

しかし、今まではランダムで引っ越してきていたキャラクターが、今作ではある程度厳選出来るようになった。というのも、島で土地を売り出せば、離島(※1)で新しい住民と出会い、自分の島への引っ越してこないかと勧誘できるのだ。

(※1)「マイルりょこうけん」というアイテムを使って、ユーザーが住む島とは別の小さな離島に出かけることが出来る。

もし離島にいた住民が好みでなければ、別の離島に行けばまた異なる住民が現れる。これをお気に入りの住民が出るまで繰り返すことで、厳選ができるというわけである。この方法は、巷で「住民ガチャ」「離島ガチャ」などと呼ばれている。それを知った私は、張り切って土地を2か所に売り出した。なぜか私が10000ベルの手数料を支払わされた。

明日は頑張って住民ガチャするぞ。確保した売り土地に満足して、私は就寝した。

そして翌日。

知らん奴が来た。

私が昨日確保した土地の看板に、「売約済み」の赤い札が貼られている。勧誘どころかまだ離島にすら行っていないのに、なんて勝手な。普通に考えれば土地を売っているのだから買い手が現れるのは当たり前なのだが、なんだか腑に落ちない。私はここにお気に入りの住民を誘致する予定だったのだ。ここはオーロラちゃんやレイニーちゃんの土地だ。立ち退きを要請する!引っ越し断固拒否!ネコと和解せよ。

デモ行進を起こそうかと考えたが、すんでのところで思いとどまる。もしかしたら可愛い子が引っ越してくるかもしれない。過去作で仲良くしていた、リカルドやレベッカちゃんかもしれないのだ。とりあえず引っ越してくるまで待ってみるか。

そして翌日。

 

 

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知らん人だった。

誰?てか家ヤバくない?収監されてんじゃん。

隣のヒョウタの家と比べても、貧相すぎてこちらが泣けてくる。一番にオオカミに吹き飛ばされる家だろこれ。

 

まぁしかし、引っ越してきたものは仕方がない。受け入れようじゃないの……。

 

だが、私からは絶対に話しかけないからな。

 

私が島に勧誘した住民ならともかく、向こうが勝手に引っ越してきたのだから、向こうから挨拶をするのがスジってもんである。というか、近所に引っ越してきたからって先にいた住民の方から家を訪ねられる方がどう考えても怖い。私は向こうから声をかけてくるのを待つことにした。

 

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しかし待てど暮らせど、知らん人が声をかけてくる気配はない。この日は住民があまり来ないエリアでずっとウロついていた。なんだその赤ずきんちゃんが持ってそうなカゴは。

 

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また、ヤシの木にもたれてボーッと空を眺めていたりもした。私の島は中心の川を境目として左側に施設や家を固めているため、今この知らん人がいる左側には住民があまり来ない。やはり、すでにコミュニティが築かれつつあるこの島で「私」という共通点無しに引っ越してくるのは、かなりハードルが高いのかもしれない。彼はこの島で友達が出来るのだろうか。ちょっと心配になってきた。

 

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しかし、島の中心にプール完備の庭付き二階建てを構えており実質島の代表として扱われている私に挨拶をしてこないのだから、自業自得だ。この島の博物館も商店も仕立て屋も、全て私が土地を決めた上で材料を集めたり寄贈品を集めたりした結果出来た施設である。橋や坂を作るための資金もほぼ私が用意し、私のおかげで島には道も敷かれている。島中に咲き誇る綺麗なアネモネやチューリップも、全て私が植えたのだ。この島に置いて私の存在は絶対であり、この私にお伺いを立てないことには何も進まない。彼はそんな暗黙のルールを知らずにやってきた、哀れな余所者なのである。

 

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とは言えこの私、気に入らない住民がいるからといってアミで叩いたり斧を振り回したりといった野蛮なことはしない。「おいでよ」では嫌いな住民の家の周りにウンコのマイデザインを敷き詰めたりもしたが、今作でそれをやると島の景観が損なわれてしまう。それにあの頃から私は成長したのだ。むしろ、彼がちゃんとこの島でやっていけるのか心配しているくらいである。

 

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お、勇気を出して広場に来たようだ。

 

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と思ったら、めっちゃ端っこで筋トレし始めた。なんでそんな端に……?ほら、真ん中でヒョウタも筋トレしてるよ!声かけるチャンスだよ!しかし彼はこの後ヒョウタに話しかけるどころか、モンシロチョウに気を取られて筋トレを中断する始末であった。モンシロチョウなんてこの時期どこにでもいるだろ。

彼は見た目に反してかなりシャイなようだ。

 

ところで、彼がこの島で楽しく暮らせるか問題とは別に、彼と話さないことで私にもひとつ困ったことが発覚した。

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というのもこの知らん人の家、実は位置取りを間違えて隣の家と一マス分しか空いていないのである。私はそこそこ気を遣って島を整備して、住民の家も隣り合う家は全て二マス分空けている。にも拘わらず、よりによってこの知らん人の家だけが想定していた位置よりズレてしまったのだ。一応、住民の家も別の場所に移動することは可能である。しかし、それには50000ベルもの大金と、住民に家の移動のお願いをする必要がある。たぬきちを通じて住民に連絡を取ってもらい、案内所(市役所みたいな施設)に呼び出し、住民に直々に許可をもらわねばならないのだ。といっても断られることはないのだが、これまで話したこともない実質島の代表みたいな人間に突然呼び出されて「家の場所を変えてくれ」なんて言われたら、私なら怖すぎてその日のうちに荷物をまとめて島から逃げる。しかも家を一マスだけずらしたいこの場合、一旦全く違う場所に移動させてからもう一度ここに戻さなければならず、つまり二回の移動が必要になる。「家の場所を変えてくれ」と言われて怯えながら移動させた翌日にまた「家の場所を変えてくれ」なんて言われたら、どう解釈しても立ち退きを促されているとしか思えないだろう。

 

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いくらなんでも、それはちょっとかわいそうな気がする。最悪この夜の海に身を投げ出しかねない。しかし今更こっちから話しかけるのもな……。おそらく向こうも同じ状況だろう。島に引っ越してきて数日間暮らし、なんとなく私が実質島の代表ということになっているのは把握したが、今更挨拶しに行くのも……と多分彼も思っている。お互いがなんとなく牽制し合っている状態だ。

しかしそんな状況では、彼もこの島で暮らしにくいだろう。ただでさえ狭い孤島である。他の住民は彼を受け入れてくれているのだろうか。やはり私が率先して話しかけるべきなのでは……?

 

私が悶々と悩みながらも、時は過ぎていく。そして訪れた4月11日、この日は島で初めてのイベントである「釣り大会」が催されていた。普通に寝坊して朝9時の開始時間を逃したが、私は元気よくつりざおを携えて家を出た。

住民のみんながお揃いのハットとジャージ(?)を身に着けていた。

えっ何それ……?私聞いてないんだけど……

突然の疎外感。今まで私を中心として島が回っていると思っていたのに、実際はみんなのお揃い衣装計画に誘われない程度の存在でしかなかったのだ。地動説が有力とみなされ始めた頃の地球もこんな気持ちだったのかもしれない。みんなのために島をいろいろと整備しているつもりだったのだが、彼らにとってはいい迷惑だったのだろうか。そりゃ坂や橋のための募金だって集まるわけがない。

知りたくなかった真実。悲しみを抱えた私は、とりあえず自分の釣り場を探すことにした。

そういえば、あの知らん人も釣り大会には参加しているのだろうか。もしかしたら、他の住民が来ているお揃いの衣装を見て私のようにションボリしているかもしれない。初めて彼に親近感が湧いた。今日こそ、その話題で話しかけてみようかな。

 

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着てる。

 

え?なに?私の知らないところで普通に住民たちと親交を深めていたってこと?私は何を心配していたんだ?というかただの余計なお世話だったのでは?というか、ある程度顔見知りでないと向こうから話しかけてきてくれないんだから、待っていても仕方がないだろ。

 

ただ一人で意地を張って偉そうにしている私が惨めになってきた。私が勝手に上から目線で心配だとか言っている間にも、彼は普通に他の住民と交流して普通に島の一員として馴染んでいたのである。

やはり変な意地なんて張るもんじゃない。家の場所も移動したいし、私から話しかけてみよう。

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え!?知ってる人!?ヤバッ全然わからん……ひ、久しぶり……

 

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やっぱり知らん人だった。というかめちゃくちゃいい人じゃん……。しかもこの島では初めてのオレ系だ。オレ系はちょっと怖くて苦手なのだが、思っていたほど怖い人ではなさそうだ。

余談だが、私はアタイ系も苦手だ。教室の隅っこでラノベを読むオタクに、他意はなく「何読んでんの~?」と話しかけてくるギャルを彷彿とさせるからである。文化祭でクラスTシャツを作ろうとか言い出すタイプだ。おそらく釣り大会のお揃い衣装はこのタイプが発端であろう。うちの島で言うとアセロラだ。お前の仕業か……。

 

何はともあれ、これでようやく心置きなく家の移動をお願いできる。

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知らん人、あらため知ってる人チョモランも快く承認してくれた。やはり顔見知りかどうかというのは非常に大切である。私を差し置いてみんなとお揃いの衣装を着ていたのはなんだか腹が立たないでもないが、とりあえずの移動先は私に任せなさい。

 

 

 

 

 

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彼に決して恨みはない。そう決して……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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一マスだけズラすための緊急措置だったので、翌日ちゃんと元の場所に戻しました。

これで綺麗に道が敷ける!は~スッキリ……。

 

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あまりに整備しすぎて自然あふれるどころか一から人工的に作った島みたいになってしまったが、このはらぺこげんき島で彼がこれからも楽しく暮らせたらいいなと思う。

 

 

釣り大会でのお揃い衣装のことは、決して忘れない。