ファーさん探して三千里
クリスマスである。
クリスマスであるが、私は今日も元気にグラブっている。
それはどうでもいい。どうせクリスマスであろうとなかろうと呑気に外出できるご時世でもないし、そもそも大手を振って外を闊歩できたとて、私に予定など特にないのである。
私よりフルオートの方がグラブル得意だし、なんなら人生もフルオートの方が得意かも
— ᕱ⑅ᕱて ふ ぴ ゅ ﾁｬﾝოර⌄රო (@tehu_pipipi) 2020年12月22日
なので、私は今日もグラブっている。
ところで次回の古戦場は光有利の古戦場ということで、私が最近力を入れているのは光属性の強化だ。始めたての頃、六属性全て強化しなければならないと知った時は何から始めればいいのかおろおろと彷徨うしかなかったが、慣れてみると「古戦場」という目標に合わせてひとつずつ強化していけるので、今ではテンパることもなくなった。
各属性を強くするために必要な武器として、私は最近「終末武器」というのを覚えた。
永遠拒絶の剣てなんやねん
— ᕱ⑅ᕱて ふ ぴ ゅ ﾁｬﾝოර⌄රო (@tehu_pipipi) 2019年12月23日
拒絶すんな
自分のツイートを掘り返していたら、ちょうど一年前は終末武器の名前にキレていた。というかこの名前は今でも腑に落ちない。武器の癖に「拒絶」だの「否定」だの、生意気にも程がある。
とはいえこのツイートの約一年後に、私は「永遠拒絶の剣」を無事入手した。
根元に分度器みたいなのがついているこれが、「永遠拒絶の剣」である。分度器部分の殺気の高さに、確かに拒絶感があると言えなくもない。
で、この永遠拒絶の剣を上限解放したりスキルをつけたりするのに必要なトレジャーを、ファーさんのマルチバトル（優しい方）で集めなければならない。
この干からびたメタモンみたいなのが、とにかくたくさん必要なのだ。
なので、私は連日やる気満々である。ファーさんを狩るためにベリアルの斧を構えて、毎日毎日素振りしている。よっしゃ！ファーさん連戦でいっちょかましたるで！かかってこいや！へいへいファーさんビビってるゥ！
素振りを続けて、五日ほど経った。
ファーさん連戦部屋がぜ～～～んぜん無い！！！！！！
もうぜ～～～～んぜん無い。いや、私も24時間共闘を見張っているわけではないのでどこかのタイミングでは募集があるのかもしれないが、私が見つけられなければそれは無いのと同義である。毎日ATになると共闘で部屋を探すのだが、流れてくるのはつよばはつよばはルシHLアーカーシャつよばはつよばは六竜ルシHLルシHL……
優しい方のファーさん連戦部屋が、一個も無いのである。やっと見つけた！と思えばランク180以上のみの募集だったりして、ランク169の私はグギギとハンカチを噛むしかない。
ちょっと前までは9時10時のAT時になればちょくちょく見かけたのに、いったいどうしたことか。今時ルシNなんてトレンドじゃないのか？私は流行りだと思って今年の忘年会でUSAを踊っているおじさんなのか？おい！誰か！一緒にUSAを踊ってくれるおじさんはいないのか！？どっちかの夜は昼間！
共闘の連戦部屋が並ぶ中に、私のカモンベイビーアメリカがこだまする。誰かUSA部屋……じゃなくてルシファー連戦を貼ってくれ～～～～～！！！！
ここで歴戦の騎空士の皆様なら！！！おわかりであろう！！！
誰も…ルシファー連戦部屋を立てていないのである！！！
そう、無い無いと騒ぐなら、自分で部屋を立てて人を募集すればいい話だ。みんなそうしているから、今日もたくさんの共闘部屋が立てられている。私だってそうすべきだ。頭ではわかっている。わかってはいるが、何を隠そうこのわたくし、今まで一度も共闘で連戦部屋を立てたことがないのである。
未知の世界。怖すぎる。誰かの連戦部屋にすら、去年までは恐ろしくて入れなかったというのに。
連戦部屋にもだいぶ慣れてきましたわ～～～！！！(グラブルお嬢様)
— ᕱ⑅ᕱて ふ ぴ ゅ ﾁｬﾝოර⌄රო (@tehu_pipipi) 2020年2月25日
今日はよろーディアのスタンプを打ったら全員に無視されましたわ
連戦でのトラウマもいろいろある。これで部屋なんて立てようものなら、さらなるトラウマに打ちのめされてグラブルを引退しかねない。
例えば、私が勇気を出して連戦部屋を立てたとする。
- パターン1：誰も来ない
その名の通り、びっくりするくらい誰も乗ってこなかったパターンである。
こうなると、私は「1/30」の表記を見ながら120分を過ごすことになる。120分間、世界から見つけてもらえない状況を一人でただ噛みしめるのだ。こんなにもたくさんの人たちが毎日グラブルをプレイしているのに、私はその誰からも見つけてもらえない。私が悪いのか、世界が悪いのか。何を恨んでいいのかもわからず、ただただ120分が過ぎていく。
120分経って部屋がなくなったとしても、私の呪いがとけることはない。あれだけ世界に「私」の存在が気付いてもらえなかったのなら、もう今後どんなマルチで救援を出しても、やはり誰にも気づいてもらえないのではないか。私一人では到底倒せない敵がこんなにもたくさんいるのに、私はこの空の世界を、これからもたった一人で生きることになるのではないか――
こうなったらもうおしまいである。ただ干からびたメタモンを求めただけなのに、自分の存在が世界から見えていないことを知らされるなんて、地獄以外の何物でもない。
- パターン2：ちょっとだけ人が来た
30戦やるつもりで募集したら、10人くらいが集まったパターンだ。実際に私はこういう部屋に入ったことが何度かある。10人前後のメンバーは集まっているものの、30連戦での募集なので、これだけの人数でクエストを始めるわけにもいかない。しかし、どれだけ待ってもこれ以上人が増えない。そのうちしびれを切らした人たちが何人か抜けていき、人はどんどん減っていく。こんな状況、私なら耐えられない。人が減るたびに、溜息が聞こえるような気すらしてしまう。
私はこういう部屋に入ってしまった場合、最後まで残るタイプである。なぜなら、部屋の主に「私がいるよ」と気づいてもらいたいからだ。
もし部屋を立てたのが私だとして、全然人が足りない上にせっかく来てくれた人までどんどん抜けていってしまったら、ものすごくショックを受ける。せっかく期待して入ってくれたのに、自分の不甲斐なさで失望されたような気がしてしまうと思う。すごく嫌だ。だから、私はみんなが抜けた後も部屋に残り続ける。「私は失望してないよ！」「部屋を立てただけでも凄いんだよ！」直接言うとキモいので言わないが、そんな心持ちで部屋主を見守っている。そしてそういう部屋は大抵すぐに解散され、私は「部屋主は共闘がトラウマになっていないだろうか……」と思いを馳せる。これほどまでに「余計なお世話」という言葉が当てはまることもそうそうない。
- パターン3：人が集まった
30人募集して、30人埋まったパターンだ。これの何が問題なのかというと、30人集まったら連戦を始めないといけないからである。
――連戦部屋を立てたから連戦しないといけないと思います。だからこそ、連戦をしなければならないと思っている。
小泉進次郎みたいなことを言っている自覚はあるが、見捨てずに聞いてほしい。
まず、私は部屋を立てたことがない。だから、部屋主が何をしなければいけないのかも全くわからない。30人集まったら何をすればいいのだろう。このご時世だし、まずは30人全員の体調をヒアリングするのだろうか。おでこにピッてやるやつとかいるのかな。
無事に連戦を開始したとして、もしかしたら部屋を立てた人がデバフを入れるべしみたいな掟があるかもしれない。スタンプはやはり押すべきだろうか。「ゴッドガードよろーディア」のスタンプを押してまたスベったらどうしよう。よろーディアならまだしも、変なスタンプを押し間違えたらみんな部屋から抜けたりしないだろうか。
- パターン4：連戦が止まってしまった
あと、これも困る。連戦部屋ではメンバーが順番に一人ずつクエスト開始ボタンを押す必要があるのだが、たまにそのボタンを押してくれない人がいて（連戦に入ったのを忘れてるとか、寝落ちとかかもしれない）、そうなるとクエストを開始できず他のメンバーは途方に暮れるしかないのだ。私も何度か途方に暮れたことがあるのだが、そうすると「強制退室」というシステムが発動する。これは他メンバーの承認を得て、特定のメンバーを部屋から蹴り出すことが出来るシステムである。初めて見た時は、何事かと思って震えてしまった。そんな投票で明日死ぬ人を決めるみたいな、心理戦デスゲームみたいなことがあっていいのか。とはいえ動かない人を何分も見守っていても仕方がないので、最近は心を鬼にして承認ボタンを押している。
で、その「強制退室」を発動させる権限を持つのはおそらく部屋主である。たぶん。知らんけど。つまり部屋主が「こいつはもう駄目だな」と判断して、全員の承認を得るために誰かを吊るし上げるのだ。「強制退室」を発動させること自体はまあいい。前述したとおり、クエストが進まなければ他の人が困るだけなのだから。
問題は、それを発動させるタイミングである。具体的にどれくらい経ったら強制退室させるべきなのか。クエスト開始ボタンを押してくれない人を、仮に「A」と呼ぶとしよう。もしAが完全に寝落ちていたのなら、私は容赦なく強制退室で蹴り出すことが出来る。しかし、別のページに飛ばされてアワアワしている最中だったら？私はAが戻るまで待ってあげたい。もしAが急な尿意でトイレに駆け込んでいるなら、それも待ってあげたいと思う。ただしウンコだった場合は、時間がかかりそうなので蹴り出すかもしれない。しかし、私にAの状況は一切わからないのである。Aがウンコしていようと、急な脳卒中で倒れていようと、私含め部屋のメンバーから見ればただの動かぬ人なのだ。
それを、私はどうやって判断すべきなのか？1分経っても戻ってこなくたって、あと一秒待てば戻ってくるかもしれない。60秒待ってヘトヘトになっても61秒目は何か変わるかもしれない。しかしそんなことを言っていては、いつまで経っても動かぬAを蹴り出せない。私はどうしたらいいのだ。みんな何を基準にしているんだ。私には荷が重すぎる。誰か助けてくれ～～～～。
以上の理由で、私は連戦部屋を立てられないでいる。
みんなどうやってこれらを乗り越えたの？というかこんなことを考えているのは私だけか？私が自意識過剰なだけか？私が死ぬほどグラブル下手なだけか？死ぬしかないのか？なあファーさん、私はどうしたらいいんだ？？？
当然ルシファーは答えてくれるはずもなく、それどころか会うことすら出来ていない。ベリアルの斧を振り回しているのが悪いのだろうか。でも最近やっと最終まで強化出来て嬉しいんだよ～～ファーさん見てくれよ～～～（ﾌﾞﾝﾌﾞﾝ）これ斧っていうかどう見ても鎌だと思うんだけど、ファーさんはどう思う～～～～？（ﾌﾞﾝﾌﾞﾝ）
私がファーさんの部屋を見つけて入るのが先か、勇気を振り絞って部屋を立てるのが先かのチキチキレースが、こうして幕を開けたのだった。
